雨の日も、レザーソール

梅雨どきの靴


梅雨らしい梅雨である。

今年の梅雨入りは平年並み、7月も半ばを過ぎて後半戦に入っているが、この間、太陽を見た日は何日あったか。ひょっとしたら一度もお天道様を拝んでいないかもしれない。

洗濯物が溜まるのも困るが、雨の中を歩いてビチャビチャになってしまう靴も、また困りものである。

仕事柄、毎日革靴を履いて通勤している。通勤用の靴は3足あり、それらを毎日ローテーションしていて、3足すべてがレザーソール、つまり革底の靴だ。


その名の通りレザーソールは革でできているので、ラバー製のそれに比べ、雨が苦手である。ラバーソールの靴を履いている人にはなんともないことが、レザーソールはタイヘンなことになったりする。

しみこむ


雨の日。
まず、レザーソールから水がしみ込んでくる。
ソールが新しいうちはまだいいのだが、履き込んで薄くなってきた革のソールは、濡れた路面を5分ぐらい歩けば確実にインソールまで水分が侵入する。もちろん靴下が湿る。

すべる


レザーソールは滑る。
ザラザラのアスファルトであれば、雨の日でも平気だ。しかし、気を抜いていると、横断歩道の白いペンキを踏んだ途端に、ズズッ、と前足を取られて重心が後ろに傾き、下手をすると背中から地面に倒れて天を仰ぐことになる。
マンホールや金属製の側溝のフタにも充分な注意を払わなければならない。
ピカピカツヤツヤの駅のコンコース、ショッピングモールの通路、ホテルのロビー、身近なところではコンビニのリノリウムの床など、乾いていても危険な場所はいたるところにある。

すりへる


革底はすり減る。
水が染み込むと、革は柔らかくなり、歩くにつれどんどんその身を削っていく。つま先やかかと、体重の乗る拇指の付け根あたりは特にひどく劣化する部分である。

かわかない


レザーソールは乾きにくい。
水分をたっぷり吸い込むと、なかなか乾かず、翌日でも履けるものではない。朝から雨の日は、一日中湿った足の感触と付き合わなければならない。

レザーソールのケア


一部靴マニアの方々からすると、そもそもレザーソールの靴を雨の日に履いてどうすんの、信じられん、というご意見が多数を占めるだろう。雨には雨用の靴を履け、と。
一度濡れたらあとのケアがタイヘン、なんとかクリーナーで汚れを落として、なんとかクリームを塗り込んで、なんとかブラシでなんとかをコーティングせよ、と。

僕は靴マニアではないので、雨の日にもレザーソールを履く。別に強い信念とかがあるわけではなく、残念ながら仕事用の靴は3足しかないので、雨の日も風の日も、雪が降っても履くしかない。

水が染みて滑りやすくすり減って乾きにくいレザーソールだが、普通に何の意識もせず毎日履いても何の問題もない。雨によって靴がボロボロになってしまったりカリカリにしなびてしまったこともない。この2年間、3足のローテーションでやっていけている。

ただしそうは言っても、最低限のメンテナンスは必要である。ごく簡単なことだ。

レザーソールが濡れたときは


靴が濡れたときは、すぐに乾かす。


  1. まず、濡れた靴の表面やソールの水を、ティッシュやキッチンペーパーなどで拭き取る。
  2. 次に、新聞紙を小さく丸めて、靴の中にぎゅうぎゅうに詰め込みむ。片足で、新聞紙2枚分は入るだろう。つま先にもぴっちりと行き渡るように押し込む。
  3. 濡れたソールの風通しを確保するために、靴に下駄を履かせる。僕はいつも、新聞紙を敷いたところに古いドラムスティック2本を平行に並べて、その上に靴を置いている。もちろんスティックがなくても、割りばしや鉛筆、アルミホイルを丸めたもの、などなんでもオーケー。
  4. 寝る前に、靴に詰めた新聞紙を一度取り替え、この状態で一晩放置する。
  5. 翌朝、靴の中の新聞紙を取り除き、そのまま1日置いておく。下駄は履かせたままで。これで靴の中の風通しを確保して、乾燥を促す。
  6. ウチに帰ってきたら、靴は8割がた乾いているはずだ。シューキーパーを入れて、翌日まで放置しておく。やはりシューキーパーはあったほうがいい。特に濡れたあとは、乾燥する過程でソールがそり返る傾向にあるようだ。シューキーパーは、靴の内側から縦方向にテンションをかけて、靴のそり返りを防いでくれる。
これで、2日かけた乾燥が終了だ。つまり、雨の日から中2日をおけば、乾燥が完了して、履くことができる。靴が3足あればローテーションが完成するということである。

ちなみに僕はこのあと、乾燥を防ぐために「デリケートクリーム」というクリームを塗るようにしている。毎回ではなく気が向いたら、という感じで、頻度でいうと2ヶ月に1回、というところだろうか。

雨でも履く


そもそも、靴なのだから、雨の日は履かないというのはおかしいわけで、雨でも使えるものとして作られているはずである。気に入った靴を履く機会が制限されるのは、ちょっとイヤなものだ。

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