素人手抜きレシピ:フィナンシェ

焼きたてのフィナンシェに感動

出張帰りに立ち寄ったんで、と、会社の後輩が買ってきてくれたのは、焼きたてのフィナンシェだった。

フィナンシェ?なぜフィナンシェ?と戸惑った表情を読まれたのか、ちょっとホントにうまいんで食べてみてくださいよと半ば強引に紙袋を手渡されていた。

どれどれでは頂いてみるか、と、袋から一つつまみ出すと、まだほんのりあたたかい。しっかりとした焼き色で、角が立っていて、しかも真ん中あたりがぷっくりとふくらんでいる。
ひと口頬張ると、これがまた、うまい。
外側のカリッとした食感、中はしっとりふんわり、芳醇なバターの香り…と、ありきたりの言い回ししか出てこないのが情けないが、まさにその通りであった。
焼きたてのフィナンシェってうまいんだなと妙に納得したものだ。

聞くと、丸の内に店舗を構える「エシレ・メゾン・デュプール」という、ちょっとその筋(?)では有名な店の焼きたてフィナンシェだそうで、焼き上がりの時間を狙って常に行列が絶えないんだそうだ。

会社帰りに買ってこうかなと思いつつ、1個324円という強気の値段に気後れしてしまうのだけど。

フィナンシェの材料



【フィナンシェ型 約18個分】

・無塩バター:110g
・卵白:3個分
・砂糖:110g
・アーモンドプードル:45g
・薄力粉:45g
・ベーキングパウダー:小さじ1

レシピによっては、バニラの香りをつけるものがあるようだが、ウチにはなかったので入れない。バターの香りで十分かと思う。
無塩バターは、なければ有塩バターで問題ない気がする。有塩で作ったことはないが、あえて塩を少し入れる人もいるようだ。
あと、ベーキングパウダーも、入れる派入れない派あるようで、どちらでもいい。ウチでは、中の食感が少しふんわりしている、と家族からの評判が良かったので入れている。

型の下準備

フィナンシェを焼くには当然型が必要だ。

もちろん、マドレーヌの型でも人形焼の型でも焼けるが雰囲気というものがある。フィナンシェはそもそも薄い形状なので、深い型を使う場合は、生地を薄く流し込むようにするといいかもしれない。
僕の持っている型は金属製で、熱の伝導率はいい。焼く温度、時間などは型の材質に合わせて調節すべきだ。
また、テフロン加工のものなどは、以下の行程は必要ないかもしれない。
1.フィナンシェ型にバターを塗る。ハケを使って、溶かしたバター(分量外30gほどをレンジでチンする)を型に塗る。しっかり塗るのが良い。ムラがあると、焼き上がり後はずす際、非常に苦労する。


2.バターを塗った型を冷蔵庫に入れて冷やしておく。冷やすとバターが固まり、生地を流し込んだとき型と分離されて、くっつかないらしい。粉をはたいた方がいいかもしれないが、僕はやったことがない。

3.オーブンを予熱する。うちの場合、ガスオーブンを190℃のやや低めにセットしている。オーブンによってかなり違うと思うが、スタートはちょっと低めの温度設定にして、時間の調整によって焼き加減をコントロールするのが良いと思う。

焦がしバターを作る


ここがフィナンシェ作りで、もっとも大きなヤマ場だ。
なにしろ、大量の貴重なバターを、必要以上に加熱して黒く焦がしてしまうのだから。判断を誤ると、もう取り返しがつかない・・・加減がわからない・・・どこまで我慢すればいいのか、まるでチキンレースのような行程である。

でも、心配はいらない。不安なら、ほどほどの焦がし具合で止めてもいいし、まったく焦がさなくてもいい。あえて焦がさないバターで作るフィナンシェもあるようだ。


1.焦がしバターを冷ますために、大きめのボウルに水を入れて、コンロのそばに置いておく。
2.バターを鍋に入れて中火にかける。あわてなくても大丈夫だ。この先、バターが焦げてくるまでに結構な時間がかかる。


3.加熱のムラをなくすため、泡立器でゆっくりかき混ぜながら熱を加えていくと、まずバターに含まれる水分が蒸発しはじめ、全体にブクブクと泡立ってくる。


4.引き続き、かき混ぜながら加熱する。最初は荒かった泡がだんだん細かくなってきた。


5.鍋底の方から、バターがだんだんと色づいてくる。油脂以外の成分が茶色くなって沈殿していく感じだ。火を弱火に落とす。


6.泡が少なくなり、沈殿物の量が増えてさらに色濃くなってきた。鍋底の色に注意しながらさらに加熱する。


7.このくらいの色でいいか…。


8.ここだ、と感じたら、すぐに火からおろして、そばに準備していたボウルの水に鍋を浸して粗熱をとる。あとで生地に混ぜる時、バターの温度が50〜60℃になっていれば良いので、焦げの進行が止まる程度で十分。


生地を作る


1.ボウルに、卵白を入れ、泡立て器でほぐす。泡立てる必要はない。卵白のコシが切れれば良い。


2.砂糖を一度に加え、泡立て器で混ぜてしっかり溶かす。ここでも泡立てない。


3.アーモンドプードル、薄力粉、ベーキングパウダーを合わせて、ふるい入れる。


4.泡立て器で、粉がなじんで少しツヤが出てくるまで混ぜ合わせる。


5.焦がしバターの温度が50〜60℃程度(お風呂には熱すぎるくらい)になったのを確認したら、焦がしバターを生地のボウルに一気に加える。


6.泡立て器でムラなく混ぜ合わせる。温度が比較的高いので、分離する心配はないが、もしバターが冷めてしまった場合は、湯煎などで温める。


生地を型に流し込む


1.冷やしておいた型を冷蔵庫から取り出し、生地を流し込んでいく。スプーンなどですくったり、絞り袋で絞っても良いが、生地は少しゆるいので流れやすく、ボウルから直接流し込んでしまう方が楽だ。


2.だいたい、型の7分目程度まで入れる。多過ぎると、焼き上がりに角がなくなってフィナンシェに見えなくなる。


オーブンで焼く

1.190℃に予熱しておいたオーブンに入れ、15分焼く。今回は、型をバットに乗せて焼くのでオーブンの下段にセットした。温度と焼き時間は、型の素材、オーブンの種類等々いろんな要因によってベストな条件が変わってくる。


2.火が入ってすぐに、真ん中あたりがぷっくりと膨らんでくるが、焼きが進むと落ち着く。

3.焼き上がり。僕は少し濃いめの焼き色の方が好きだ。



出来上がり

オーブンから出したら、型から外して、網の上などで蒸れないように冷ます。型の角をコンコン、とすると割と簡単に外せる。
焼き方が足りなかったりすると、生地の外側が固まらず外しづらい時がある。そんな時は薄いナイフなどを使ってこそいで外す。


今回、僕が紹介したのは、なるべく手軽に手抜きして「それなりに」おいしいフィナンシェをつくる、ど素人レシピである。

一応、念のため。









コメント

このブログの人気の投稿

ひかりTVは無線化できるか(できます)

キッチンの「ソフトクローズ引き出し」が閉まらないとき

イサム·ノグチ「AKARI」が破れたら