ドラマーよ、シンバルは、聴くな

フィルインのあとの違和感


バンドのリハーサルで録音した音源を聴いたとき、自分のドラムについて気づいたことがある。

フィルインのあとから、ちょっとモタってるのでは?と感じたのだ。フィルイン後、次の小節のアタマへの入りが少し遅れていている。直後、遅れた分を挽回しょうと慌てている、ふうに聴こえる。
それが重なって、曲全体でモタっているように感じたのである。

音源を何曲か聴いたのだが、症状はどの曲もだいたい同じだった。ただ、よく聴くと、特にスローテンポの曲の時に、このフィルイン後のモタった感じが顕著に現れているようだ。
テンポの速い曲で、フィルイン自体が速度に追いつかずに…ならわかるのだが、ゆっくりとしたフィルインの時ほど、遅れが目立っている、ということは、どういうことなのか。また、フィルインの部分だけを聴くと、特に遅れているわけではなさそうである。
しばらくは、こんな違和感を感じながら叩いていたのだが…

バンドの曲で、いちばんテンポの遅い曲がある。右手のフロアタムでリズムをキープして、なるべくシンバル類を叩かないように、と心掛けている曲だった。
この曲を、今度のライブで演ろう、ということになり、ライブ前のリハで繰り返し練習をした。ゆったりした曲なので、丁寧にていねいに、フィルインの最後はながーいサスティンをイメージして、ためたシンバルをジャーン……余韻を残して……

ここで気付いた。

シンバルのサスティンを「聴いている」!


シンバルを聴いていると次に遅れる



分かった。シンバルのサスティンを聴いていたために、次のリズムが遅れたのだ。

…とわかってから、シンバルの音は聴くまい、と頭において演奏してみると、しっくりいい感じになる。フィルインのあとの窮屈な感じがなくなったのだ。

これまではシンバルを叩く際、アタック+サスティン という音の「線」として捉えていた。シンバルといえど、音符ひとつの、長さのない「点」であるべきところ、長さのある線と捉えていたため、当然そのあとのリズムは後ろに追いやられて、遅れていくわけだ。

気づいてみれば当たり前のことだが、長年のクセが、その当たり前のことを見えなくしてしまっていたのであろう。

シンバルは、聴くな。

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