メルセデス【S124】効かないエアコンの救世主

酷暑にエアコンが負けた

それにしても暑い。
2025年。今年の夏は観測史上最も暑くなるだろうと気象予報士が言っていた。今日も猛暑日になるという。太陽は真上からS124のルーフに容赦なく照りつけていていて、車内は蒸し風呂のようだ。
エアコンのコンプレッサーは動いているものの、吹き出す風はまったく冷たくない。日陰に入ると多少はマシになるが、室温は外よりも高いかもしれない。去年はこんなじゃなかったのに。

30分汗だくになってアストロプロダクツまで行き、エアコンガスとチャージホースを買ってきた。たぶん、ガスを補充すればエアコンは機能するはず。


後期124のエアコンは「R134a」のガスを使用している。1kgも入るらしい。


エアコンガス補充の方法

最初に、チャージホースのガス缶バルブのネジをいっぱいまで緩めて「針」を引っ込めておかなければならない。


針を引っ込めたら、ガス缶の口をホースのバルブに取り付ける。


クルマとの接続箇所を確認。これが低圧側ポート。

M104エンジン

キャップを外す。


中のピンを押し込むと開栓する仕組みのようだ。


チャージホースの取り付け部分はクイックカプラー。外側のリングが前後にスライドする。


カプラーの外側のリングを引っ張り上げながら、ぐっと力を入れて低圧バルブにはめ込む。


カチッとはめ込まれてロックがかかった。


接続できたらエンジンをかける。
エアコンをOnにして、温度は最低、風量は最大、内気循環にしてウインドウを全開にする。要するに常にエアコンのコンプレッサーが作動するようにする。まあ気温34℃だから心配はないと思うが。

ここで少しだけガス缶の口を緩めて、ホースの中にある空気をプシュッ、と追い出す。
圧力をチェック。…あれ?適正値?


まあいいか。いよいよガスの注入だ。
ガス缶バルブのネジをいっぱいまで締め込んで中の針を出し、ガス缶のシールに穴を開ける。それからゆっくりとネジを戻していき、少しずつガスを入れていく。ガスが入り始めるとガス圧がグッと上がった。


缶の圧力が下がってガス缶が冷たくなってきた。


ガスチャージ完了

10分ほどすると圧力計の針が安定し動かなくなったので、ここで2本目のガス缶を追加した。
10分後。圧力計の表示はやや高いが、この気温を考慮したらこのあたりでいいのかな?ガスの入れ過ぎも怖いし…


エアコンの吹き出し口に手をあててみると、まあまあ効くようにはなっている。キンキンとまではいかないけれど、今日は猛暑日。
その後陽射しの強い街中をしばらく走ってみた。汗をかかない程度には冷えていた。

しかし…

いちばん恐れていた事態に!?

ガスをチャージしてから2日。やっぱり今日も猛暑日である。エンジンをかけ、エアコンをオンにして走り出した。
ところが冷えない。風が生ぬるい。10分ほど走ったが変わらない。汗が噴き出す。外のほうが涼しいではないか!おとといは効いたのに。ガスが激しく漏れているのだろうか。
近所のGSにクルマを持ち込み、いつもお世話になっているOさんに見てもらったら、ガスはほとんど抜けているとのこと。ということは、補充して2日でガスが抜けてしまったのだ。「エアコンは電装屋じゃないと扱えないんですよ」
翌週、国産最大手自動車メーカー系列のデンソー屋さんに持ち込んで診てもらった。

デンソー屋さんからこんな報告を受けた。「エバポレーターから漏れてるとしか考えられないねえ」
チェックしてもらったところ、コンプレッサーやホース等からのガス漏れはなかったらしい。ということは消去法でコンプレッサーからの漏れ以外考えられないということだ。あと、デンソー製のコンプレッサーもかなり経年劣化しているそうだ。
ああ、いちばん恐れている事態となってしまった。ご存知のとおり、ガス漏れするエバポレーターは修理不可能で、交換するのは、124に限らずクルマの整備の中でいちばん手間とカネがかかるコトだからである。
「なんせ旧いクルマだからねぇ、壊しちゃマズイしちょっとウチでは触れないなあ」予想通りの対応であった。30年以上も前のクルマのエバポレーター交換をいったい誰が喜んでやってくれるだろう。

横浜には、旧いメルセデスの修理で名の知れた工場がいくつかある。思いつく限り「124のエバポ交換」の見積もりをお願いしてみたら、やっぱりというか、40万円から75万円(!)まで、スゴイ金額が出てきてしまった。
ああー、どうする?

ドクターリーク

「ドクターリーク」をご存知だろうか。
GoogleのAIによると
ドクターリーク(Dr.Leak)とは、カーエアコンの冷媒ガス漏れを補修するための、蛍光剤と潤滑油を含む添加剤です。注入後15~30分で0.5mm以下の微細なガス漏れを半永久的に止める効果があり、将来の部品交換時にも硬化しないノンポリマータイプであることが特徴です。世界中の自動車メーカーで新車時から使用されている蛍光剤と同じ高品質な材料を使用しており、従来のエアコン修理よりも経済的であるとされています。
というものである。ウチのS124のエアコンのガス漏れはもはや微細なものじゃないと思うが、ダメもとで試してみる価値はあるのではないか。

ということで早速手に入れたドクターリーク。ちっちゃいけれどまあまあお高い。まあエバポレーター交換に比べたら屁みたいなもんだが。


ガス容量600gに対して1本、ということなのでS124には2本必要。エアコンガスの補充と同じようにエアコンサイクルに注入する。

小さな缶の中には補修材、潤滑油、蛍光剤と、少しの134ガスが含まれている。缶を逆さまにして補充する。

ドクターリークを入れてから、ガスをいつもの通りチャージしておいた。漏れよ、止まってくれ…。

ガス漏れが止まった!

記録的な猛暑は彼岸を過ぎてからも猛威を振るっていたが、10月に入るとさすがに秋風を感じるようになった。
今日みたいに晴れた日には気温は30度近くになる日もあるが、今、S124の車内は快適である。エアコンの温度調節ダイヤルは「22℃」風量は「1」を指している。

ドクターリークを入れて2ヶ月が経った。今のところ、S124のエアコンはしっかり効いている。2日でガスが抜けていたスローリークどころではない状態を考えるとちょっと信じ難いが、これはやはりドクターリークがガス漏れを止めたということなのだろう。
なんと素晴らしい。修理代に数十万の見積もりが出た旧車。数千円の小さな缶でエアコンのひどいガス漏れを止めてしまうなんて。素晴らしい。

いずれにしても今後数ヶ月は様子を見ていく必要はあるだろう。

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