メルセデス【S124】リアゲートダンパー(ガススプリング)を交換

 冬だから?


S124のリアゲートを開けようとしたところ、なんだか妙に重い。ロックを解除した時点から、リアゲートをはね上げるチカラが全然働いていない感じだ。
よっこらしょと手で持ち上げないと動かない。開けてもリアゲートが途中で止まらず落ちてきてしまう。

10月の納車のときは特に気にならなかったのに、と訝りながらリアゲートをしげしげと眺めてみる。露出はしていないが、リアゲートの付け根に、リアゲートを持ち上げるガス入りのシリンダーがあるはずだ。おそらくそいつがヘタっているのだろう。
もう12月。ひょっとしたら、気温が下がったことでシリンダーの内圧が低下したのかもしれない。

修理見積7万7千円


とにかく、不便この上ないので修理しなければならない。横浜にある、激安を謳うメルセデス専門のショップに問い合わせた。翌日、見積もりがメールで送られてきた。
「現金特価 税込7万7千円」
思っていた額の2倍の数字がそこに踊っていた。
激安はウソなのか?それともこれは安い値付けなのか?相場は分からないがとにかく高すぎる。

ガススプリング自体は1本4,000円ほどで流通している。2本の交換は必要だけれども、この見積もりによると工賃で6万円も取られるということか。ネットの情報では、DIYでスプリングを交換しているヒトもいる。そうそう簡単な作業ではではないらしいが、6万円分もの技術が必要だとは思えない。
自分で交換するしかないようである。

準備

ガススプリングは「セントピア」で購入した。事前にクルマの型式を伝えれば、商品が適合するかどうかを教えてくれる。しかも対応が素晴らしく速く、発注後20時間後に商品は手元に届いていた。セントピアはメルセデスから認証を得ているそうで、品質に問題はないはずである。


それなりの工具も必要だろう。これまで、ろくな工具の持ち合わせもなかった。マイナスドライバーとラジオペンチをあわてて用意した。また、あとから鼻先の長いペンチも買い足すことになった。

工具ではないが、ひとりで作業するならば作業中にリアゲートが落ちてこないように支えるつっかえ棒が必要だ。スプリングを取り去ったとき、リアゲートの重さに耐えなければならない。鉄とガラスでできたリアゲートは恐ろしく重い。

リアゲートを固定する

リアゲートをめいっぱい開けてから、前述のつっかえ棒などで支えておく。

デッキブラシをつっかえ棒にした

作業中にはずれてしまわないよう注意が必要である。
ちなみに、S124のリアゲートの2本のガススプリングは、ルーフの後端に水平に埋め込まれている。荷物に干渉しないよう、なかなか凝ったつくりだ。それ故に内装をはがさないとガススプリングまでたどり着けない。

ガススプリングは車体ルーフ部分に隠れていて見えない

内装をはがす

まず、リア天井の樹脂カバーを取り外す。

リアゲート後端4個のプラスネジと


室内天井左右の2つのプラスネジをはずす。


リアのピラーカバーが天井樹脂カバーを押さえているので、リアピラー上部のプラスネジをはずしておく。リアピラーカバーを先にはがそうとしたのだが、ゴム部分にガッチリ差し込まれており簡単には取れず諦めた。


天井樹脂カバーをはがす。カバーは、車体天井の2箇所に引っ掛けるクリップによってルーフ中央に固定される仕組みである。

天井樹脂カバーをはずしたところ。金属製のクリップが見える。

ここで迷う。天井樹脂カバーの両端がウインドウゴムシールドにガッチリと差し込まれている。どうすれば取れるのか。
ちょっと引っ張ったくらいではビクともしない。薄い内装はがしではゴムが丈夫すぎて隙間に入らない。
仕方がないので力ずくではずすことにした。2つの金属製のクリップが外れているのを確認して、一気に真下に引っ張ると「バリバリッ」と恐ろしい音がして右サイドがはずれた。幸い樹脂カバーとリアピラーの内装にダメージはなかった。

樹脂カバーをはずしたところ

ガススプリングの取り付け部分が見えてきたが、ここからさらに天井の内張りを一部はがさなければならない。

ルーフ左側。ゴムブーツの中にガススプリングが通っている

天井の内張りは丈夫な布でできている。布の後ろ側の一辺に金属の棒が1本通してあって、その棒を、ルーフの3箇所にあるフックに引っ掛けて固定する構造のようだ。

内張り左右にクリップが2個ずつ刺さっているので、クリップ外しで引き抜く。
フック付近の布には、3箇所の穴が開いている。穴からマイナスドライバーを差し込んで、フックに引っかかっている棒をはずした。布は丈夫なので力を入れてこじっても平気だ。

内張り後部をはずしたところ

これでガススプリング交換の準備が整った。

リアゲート側スプリングピンを引き抜く

ガススプリングは、リアゲートのヒンジの穴にピンでつながっている。非常に狭くて見づらい場所だ。
作業中、リアゲートはめいっぱい開けた状態で固定しておく。全開の状態だとガススプリングにテンションがかからないのでピンを引き抜くことができる。

リアゲートヒンジ結合部。スペースが狭く作業がしづらい。

スプリングの先は、このようになっている。
写真左側からピンが差し込まれ、反対側に脱落防止のクリップがはまる。

取り出したあとの様子

クリップの突起部分をマイナスドライバーで押し込んではずし、差さっているピンをドライバーで左右にこじって抜き取る。

クリップは押し込めばはずれる

当然ながら、ピンを引き抜いた瞬間からスプリングは効かなくなるので、ゲートの落下には十分注意しなければならない。

ルーフ側スプリングピンを引き抜く


次はガススプリングのルーフ側のピンを引き抜く。
四角く見えているのがピンの頭である。

ルーフ左側

ピンの頭を押さえてているツメを引き起こす。
かなり硬くて難儀した。はじめにペンチでつかみ、マイナスドライバーでこじって起こした。

こちらは右サイド

四角いピンの頭をペンチでつかみピンを抜き取る。スプリングのテンションはなくなっているので簡単に取れた。


抜き取ったピン。


ルーフ部分に、このようにピンで連結されている。

取りはずしたあとの状態

これでガススプリングを取り外せる。配線が邪魔なのでケーブルクリップを外したほうがいい。室内側にスプリングを引っぱりこんで抜く。


新旧ガススプリングを比較。
古いスプリングの可動部からはオイルがしみ出ていた。

上が古いスプリング

ガススプリングを取り付けるときはリアゲート側から

あとは新しいスプリングを取り付けて、現状復帰作業をするのみである。すべて外した手順と逆に進めていけばよいが、いくつか注意することがある。

ガススプリングは、リアゲート側のピンから取り付けるべきだ。リアゲート側スプリングの端は非常に狭い場所にあるため、ピンを差し込むのは至難の技だ。スプリングにテンションがかからず自由に動かせる状態ならばいくらか作業ははかどる。ピンを差し込むときは鼻先の長いラジオペンチがあるともっと楽だろう。
ルーフ側のピンの穴は目視できるので、あとからでも合わせやすいはずだ。

もうひとつは、天井樹脂カバーを取り付けるのに大変苦労するということだ。カバー両端をウインドウゴムシールドに差し込まなければならない。差し込むために大きめの内装はがしを買ってきたのだがなかなかうまくいかなかった。また、なんとか取り付けても、微妙に位置がズレていたようで、リアピラーとの取り合いがピッタリとは仕上がらなかった。

交換作業はまる一日

作業は12月の朝8時に開始し、結局終わったのは日が暮れる16時過ぎであった。
手間取ったのは、新しいスプリングを取り付ける際、リアゲート側のピンを差し込むところだ。先にルーフ側のピンをとめてからリアゲート側に取り掛かっていた。ヒンジとスプリングの穴を合わせるのが難しく、また狭いスペースでピンが穴にささらず、本当に何百回もピンを落とした。
天井樹脂カバーの取り付けにも辟易した。何かいい方法があればぜひ教えていただきたいものだ。

ともあれ、苦労はしたが作業は成功し、リアゲートはシュル…と気持ちよく開くようになった。

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