古いメルセデス・ベンツCLK200【W208】を、コンパウンドで復活させる

 

22歳のW208

ゴールデンウィークあらため「ステイホーム週間」を利用して、久しぶりにクルマを洗った。

基本的に洗車はほとんどしないズボラなので、愛車のボディが激しく劣化していることに、今さらながら驚かされるはめになった。もう22歳のクルマなので、当たり前かもしれないが。

ボンネット。


写真では分かりづらいが、全体に無数の細かい傷に覆われて、ツヤがない。
ところどころに直径数cmのシミのようなものがある。

ボンネットのキズ

深刻なのは、飛び石でできたと思われる噴火口のような穴だ。ボンネットに6箇所ほど見つかった。裾野の直径は、大きいもので3cmほど。ルーフにも目立つものがあった。
塗装部分が盛り上がっているのは、おそらくサビが塗装の下まで侵食しているものと思われる。


エンブレムの足もとの、これは水垢だろうか。


汚れか剥がれかシミか分からない。ボンネットのところどころに見られる。


左右Cピラーあたりには、こんな目立つ斑点が。

左側Cピラー

不思議なことに、洗車をしたあとなど、水滴のカタチに斑点ができる。が、乾いてしばらくすると消えてしまう。
クリア層に水が浸透しているのかなぁ、と思ったりもしたのだが、ほぼ一様に模様が出てしまうので、原因が分からない。

かつて、水垢のひどかったフロントフェンダー部分をケミカルクリーナーで擦って落としたことがあって、そのフェンダーにはこの手の汚れはない。

右側Cピラー

こちらはドアハンドル部分です。ひっかきキズが黒ずんでいる。


リアタイヤあたりのこすったあと。樹脂の色が移っているのだろうか。


左ドアパネルとリアフェンダー部の境い目。
遠目で見ると、写真左側のリアフェンダーのみ、くすんで茶色っぽく見える。水垢か、または何か樹脂がこびりついているのかは不明だ。


思いのほか厳しい現実を目の当たりにし、やはりこの際磨かないとダメかな、という結論に達した。

飛び石による噴火口は別として、全体を覆う細かなキズはそう深くなさそうである。
水垢と、謎のシミ、またドアパネルの茶色い汚れはクリア層の上に付着しているようだし、濡れたあとに現れる斑点も、自分で研磨すればなんとかなるような気がする。…たぶん。

ボディ全体を、コンパウンドで研磨することにする。もちろんDIY で。

ねんどクリーナーで鉄粉を除去

クルマを磨くのであれば、下処理としてボディにに食い込んだ鉄粉等を取り除くことは鉄則…らしい。

そこで入手したのが、こちら。
シュアラスター「ネンドクリーナー」。


まあ普通のねんどである。
柔らかい消しゴム…ネリ消しゴムみたいな感触で、マッチ箱くらいの大きさだ。
よく見たら「コンパウンド入り」と書いてある。

このねんどが、ボディの表面に食い込んでいる鉄粉などの硬い固形物を捉えて、かきとるそうだ。ただのねんどで、硬い皮膜に食い込んだものがとれるのだろうか?という疑念を抱きながら、作業を開始する。

カーシャンプーで洗車後、ボディをなでてみると、どこもかしこもザラザラしている。細かい硬い粒が、ボディの表面にびっしりとくっついてる感触だ。
このザラザラが、鉄粉などの細かい異物だと思われる。

ザラザラがいちばん多いのはボンネットだ。次がルーフ。ボディサイドの道路面に近い部分にも、砂がこびりついたような感じがある。

ねんどクリーナーを、手でぐにゅぐにゅともみながら、少し平べったくしてカタチを整える。そして、クルマのボディに水をかけながら、その表面にねんどを滑らせるように軽くこする。


最初は、ねんどを動かすたびに「シャカ…シャカ…」と音がした。何か硬いものを削っているような音で、指先にもその抵抗が伝わってくる。

ねんどを見ると、こんな風に異物をくわえこんでいる。


くっついた異物でボディにキズをつけてしまわないよう、汚れた面を内側に折り込んで、常に新しい面を使ってシャカシャカする。


何度かねんどを往復させていると、シャカシャカ音は消えて抵抗はなくなり、ねんどは滑らかにツルツルと動くようになった。


こうなれば、ボディ表面の鉄粉などはあらかた除去されていて、ボディ表面を指でなでてみると、感動的にツルツルになった。

ああ、この感触!
そういえば新車の時はこうだったなぁ…と、妙な感慨にひたれるほど、ツルツル感が戻っている。


ボディ全面の鉄粉除去を、ひととおり終えた。作業は思ったより楽で、クルマ1台分1時間半ほどで終わった。

見た目に全く変化はないが、触ってみると気持ちよくツルツルになっている。

飛び石キズを補修

ボンネットとルーフ部分には、飛び石によると思われるキズが、大小合わせて7~8箇所見つかっている。

ボンネットの飛び石キズ。直径は約3cm。

クレーターの中心部はサビが出ており、周りの裾野にかけて塗装を浮き上がらせていることから、サビは塗装の下に根を張っているものと思われる。

20年以上ほったらかしにしておいたので、ここまでダメージが広がってしまった…。この機会に補修をして、なんとかサビを食い止めなければならない。

補修の準備として、マスキングテープでキズの周りを保護します。


粒度2000の耐水ペーパーで削ってみた。


かなり時間はかかったが、サビを削って、ボディの鉄板まで達した。
予想通り、サビは噴火口の周りの盛り上がった塗装の下まで侵食している。


削ったあとの補修には、これを使う(メルカリで入手しました)。

ホルツ カラータッチ

ホルツの「カラータッチ メルセデスベンツ 744 ブリリアントシルバー」。ちょこっと補修用の、ペンタイプだ。

カチカチ音がするまでよく振ってから、使う。
ただし、この品自体が古いのか、いくら振ってもいまひとつ混ざっている感触がない…

ペン先で、ちょこちょこっと乗せていく感じで塗る。やはり塗料の粘度が高い…


後で磨くので、ボディ面より少し盛り上がるくらいに塗るのだが、一度に盛り上げるのではなく、何回かに分けて作業した。

タッチペンを塗ったところ(1回目)

2時間ほど時間をおいて、計3回塗った。

ちなみに、損傷のひどい箇所は、耐水ペーパーでは話にならなかったため、写真のようにドライバーの先でゴリゴリほじくってサビを削り取った。


ボディをドライバーでほじくるというのは、我ながら恐ろしい。もう後戻りはできない。…ままよ!と開き直ってゴリゴリを続ける。
あらかたサビが取れたら、耐水ペーパーで削る。


とりあえず、タッチアップペイントはすべて塗り終えた。


硬化するまで、1週間待つことにした。

…そして1週間後。
厚めに乗せたペイントがもう硬化していると判断し、ペイントの研磨作業に入る。


2000番の耐水ペーパーで削ります。


硬化したペイントはそんなに硬い感じはなく、比較的楽に削れる。まあ、それはいいのだが…

めちゃくちゃ目立っている!


そもそもペイントと塗装部分とを比べると、質感も色もまったく別物のような気がする。
これではコンパウンドで磨いたとしても隠れることはないだろう。

別の場所もこんな感じで、補修前よりも、完全に目立ってしまった…


うーむ…タッチアップペイントは、面ではなく、ごく小さな点か、細い線状のキズを補修するためのものなのだろうか。仕方がない。補修箇所の面積を最小限にして、平滑にならすしかない。

ボンネットは、キズとシミとサビの宝庫


タッチアップペンの失敗で一時は立ち直れないほどのダメージを受けたが、なんとか気持ちを奮い立たせて、作業を続行する。…というか、ここまでやってしまったのでもう後戻りはできない。

とりかかるのは、ボディでもいちばん傷みのひどい、ボンネットのキズ消しである。

ボンネットは、とにかく全体が無数のキズにおおわれていて、艶がない。なかにはちょっと深いキズもあるようだ。


こんなシミも多数ある。クリアの劣化か、塗装の劣化か、判然としない。


フロントガラス付近には、なにやら茶褐色をした広範囲のくすみが。


まずはコンパウンドで


手軽なセットを入手しました。ソフト99のベストセラー商品。
トライアルセットとありますが、そこそこの量が入っている。


3種類の粒度のコンパウンドのセットである。

同梱の説明書にも書かれているが、鉄則はまず、いちばん細かいコンパウンドで研磨し、キズが消えなければ一段階粗いコンパウンドで研磨すること、だそうだ。で、キズが消えたら、今度はコンパウンドの目を細かくしていって艶を出すのだと。これを“リバース研磨の法則”というそうだ。

なるほど。

では、法則にのっとって、いちばん細かい「超鏡面用」から始める。


コンパウンドの容器をよく振って、付属のスポンジに垂らしたら、ボンネットの磨く範囲にちょんちょんと乗せる。


研磨開始。
ぐるぐる円を描いてはいけない。
タテタテ、ヨコヨコ、を繰り返す。スポンジは小さい。


…キズは消えない。


では、次。法則に従い、少し粗い「仕上げ用」でやってみる。


ぜんぜん消えない…


いちばん粗い「キズ消し用」で。もうあとがない。


…ダメでだった。キズに変化はない。


耐水ペーパーで削ることに…

いちばん粗いキズ消し用のコンパウンドは、粒度3000。キズが消えないということは、キズの深さが粒度3000より深い、ということか。

3000より粗いコンパウンドはないので、#2000の耐水ペーパーで削ることになってしまった。
クルマのボディをペーパーで削るのは、相当な勇気というか、覚悟がいる。

もはや後戻りはできない。
怖いので水をかけながらシャカシャカ削る。


水はみるみる白く濁り、削れたクリアが流れ落ちていく。恐る恐るボンネットを見てみると…

お。小さなキズは消えてきている。


まだなんとかクリア層は残っているようなので、この後コンパウンドで磨いていけば、リカバリは可能だろう。たぶん。

なんだかもう、やけくそになってガリガリ削る。


いよいよエライことになってきた。


削ってみてわかった、いろいろなこと

キズ、シミが重症のボンネット全面を、2000番の耐水ペーパーで研磨した。ボンネットだけで要した時間は4時間(!)。その結果、まったくツヤのない、無惨な姿になった。


タッチアップペイントの跡も痛々しい。


ペーパーで削ってみて、いろいろなことが分かった。

キズは意外に深かった

ボンネット中心部にこんな線キズがあったので、消えるまでペーパーでジャリジャリやった。

縦に走るキズ

ところが、キズはなかなか消えず、そのうちにクリア層がなくなってしまい、塗装色面が露出してきた…。しかも、まだキズは残っている。

中心に楕円状に見えるのが塗装色面

つまり、キズはクリア層を越えて塗装色にまで達していたのだ。ここまでくると、もはや素人の手には負えない。

ボンネットのフロントガラス付近です。
ペーパーでクリアを削ったあとだが、蜘蛛の巣状の、やや褐色をしたシミ(?)が消えずに残っている。



ここまで削って消えないということは、キズと同様クリア層の下にまで達しているものと思われる。このシミは、ボンネットのほぼ全域に広がっており、パッと見の傷み感を醸し出す主因になっていた。
なので、これだけはなんとかキレイにしたいと思っていたのだが、残念ながら諦めざるを得ない。

そしてこちらは、飛び石のサビを埋めた、タッチアップペイントの跡だ。後でコンパウンドで磨くと表面は平滑にはなったが、そもそも塗装との質感が違いすぎる。タッチアップペイントは、ごくごく小さな面積の補修に使うべきだ。


反省点は数多くある。やっぱり、やってみないと分からないものだ。

まず、ボンネットから磨く

耐水ペーパーによるキズの補修を終えたので、次はコンパウンドの出番である。

はじめはこれ。粒度は3000と表記されている。2000番の耐水ペーパーで削った後だから、これで磨けばペーパーキズは消えるはずだ。


セットに付属の小さなスポンジは、前回使ったときにすでにダメになっていたので、100均で買った固めのスポンジで作業した。

思った通り、ペーパーキズは簡単に消えた。
ここまで約40分。とりあえず、運転席側が完了した。


多少はマシになった。少しツヤが出てきている。
さらに作業を進め、粒度7500の、「仕上げ用」コンパウンドで、同様に研磨する。ボンネット全面を磨いた結果が、こちら。


クリア層表面のツヤは戻っている。

ドア付近の油脂汚れを除去

ドアパネルは、油脂っぽい黄ばみと、水垢っぽい跡が共存していた。

仕上げ用7500のコンパウンドで磨くと、まず黒ずんだ油脂汚れがみるみる落ちてきて、スポンジを真っ黒にしてしまった。
水垢は油脂汚れの下にあり、さらに下には、結晶化したウロコのような薄いマダラ模様がある。

7500のコンパウンドでは、水垢までは簡単に落とすことができるが、結晶化したウロコ汚れはなかなか頑固だ。7500のコンパウンドだと、かなり力をいれないとウロコは取れない。

キズ消し用3000のコンパウンドで磨いてみると、比較的楽にウロコがとれた。

左側を7500で磨いたところ

ドアノブの裏の引っかきキズも、3000でキレイになる。



Cピラーの謎の白いあと

Cピラーは、水に濡れると、謎の白いあとが現れた。


水で濡れているときにあとが現れるということは、クリアの表面に何か原因がある、ということだ。
例えば、クリアの上に何か付着しているとか、クリア表面の状態が平滑でない、とかの理由で、水が付着することでツヤがなくなり白く見えるのでは…

で、3000のコンパウンドで研磨してから、仕上げ用の7500で磨いてみた。



ウロコ汚れがかなり強くて、取り去るのに苦労したが、かなりキレイに磨けた。

7500までざっと磨いたあとに、試しに水をかけてみると、ほんの少し白いあとは残るが、相当の改善が見られた。
やはり、クリア表面の不純物が取り除かれて、平滑さが高まればこの汚れはなくなっていくものだと思われる。

磨いた結果は…やってみる価値アリ

これまでほったらかしにしすぎたツケがまわった結果、ボンネットなど回復不能なところもあったが、全体を考えれば、クルマは何年分も若返った。

苦労して手で磨くと、目にみえて輝きがよみがえってくるクルマ。やはり愛着は増す。


これからは、ちゃんと洗車しよう、という気にもなった。









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